Vol.3
 
 

小田急線「成城学園前」駅の北口へ出て、ほどなく行ったところを右折。道の左側に あるビルの2階に、アトリエKUSAMURAというフラワーショップが目に入ります。この ショップ内に、ドライフラワーワークス フォリアはあります。フラワーショップと ドライフラワーワークス フォリアを主宰しているのは半谷(はんがい)京子さん。 半谷さんはこのフラワーショップとフラワースクールを運営される一方で、花のプロ として東京・大阪を中心に全国で個展を開催されるなど、精力的な活動を行っていま す。自然と植物をこよなく愛し、独自の哲学に基づいてつくり出される作品には定評 があります。

 
 
 
 
   
母が美大を出ておりましたので、小さい頃から絵は好きなほうでした。自分として も、美術系へ進み画家を志そうと考えていたほどです。しかし、自分の中で「絵画と いうものは、はたして学校が学生に教えられるものなのか」という思いが膨らみ始め ました。昔から、物事をつき詰めて考えていくタイプでした(笑)。結局、恵泉女学 園の園芸生活学科へ進んだのですが、実は子供の頃から自然にはまったく興味があり ませんでした。花も、どちらかと言えば嫌いなほうだったですね。それが、入学後、 実習で農家に農作業を手伝いに行ったことをきかっけに、自然の大切さ、植物の美し さに気がつきました。



 
   
     
  それからは、どんどんのめり込んでいきました。自然はなんて面 白いもの、素晴らし いもの、感心すべきものという感じです。それに、いままで私がなぜ気づかなかった のか。それを私なりに考えてみた結果、美しい自然の対極に、既存のフラワースクー ルやフラワーショップの存在が浮かびあがりました。つまり、私の育ってきた環境の 中には、花の美しさをきちんと伝えてくれる花屋さんがなかったのです。スクールに しても、植物を生き物として扱っていないところがあまりにも多かった。私がアトリ エKUSAMURAとドライフラワーワークス フォリアを始めた背景には、そうした状況が あるのです。  
 
 
 

このアトリエ内には、ドライフラワーしか置いていません。それはドライとフレッ シュ(生花)では適した温度や湿度も違いますし、何より美しさの質が違うからで す。ドライにはドライの、フレッシュにはフレッシュの美しさがあると思います。私 は自然界をお手本にしていますので、現在、スクールではドライもフレッシュも両方 とも教えています。フレッシュの良さをきちんと理解していれば、ドライの良さも自 然と理解できると考えています。まだまだ、ドライフラワーの良さに気づいていない 人が多いように感じていますので、その啓蒙にも努力していきたいと思っています。
 



 

ドライフラワーで大切なことは、やはり、花の中に季節感をきちんと盛り込んでとい うことだと思います。そうした視点で花を見ていれば、たとえば山歩きなどをしてい ても、自然と植物に目がいくようになるはずです。今でも、私などは植物ってすごい なあと思うことがたくさんあります。さまざまなことを教えてくれる植物に、もっと 愛情をもって接したい方に利用していただければと思います。
 
 

 
●ドライフラワーワークス フォリア主宰の半谷京子さん。 ●押し花もドライフラワーの一部。 ●半谷さんは、今、小さいものに魅力を感じてると言う。 ●アトリエKUSAMURAの中に飾られた、半谷さんの作品。
 
 

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